下記の記事は、2013年1月に記載した内容ですが、その後 都内特定行政庁の建築審査会において、スノコ状バルコニーは建築物であり、建築面積の算定の対象となる旨の裁決(22板建審請第2号審査請求事件)があり ました。また各地でスノコ状バルコニー等を敷地境界まで拡大して築造するような、良好な市街地の環境の保全上好ましくない事例が散見されていました。
現在はスノコ状バルコニー、グレーチングバルコニー等の取扱いは、建築基準法第2条第1号 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するものだけでなく「これに類する構造のもの」も建築物に含まれるとされています。
よって屋根に類する構造のものに該当し、同法施行令第2条第1項第2号に基づき建築面積に算定されるとする特定行政庁が多くなっているようです。
全てヒアリングしたわけではありませんが、杉並区では2013年に、藤沢市では2016年に取扱いを変更して建築面積算定対象としています。【2021.02.18】
【下記は2013年1月記載・現在は取扱いが変わっている特定行政庁も多いと思いますが記録として残しておきますので閲覧した方は御注意ください】
「スノコ状バルコニーの取り扱い」は、東京都内で統一的な取り扱い基準があるわけでなく、まったく認めない特別区や建築主事もいるので計画の時点で確認が必要な事項です。
許容建築面積いっぱいだと、このスノコ状バルコニーの取扱い次第で建築面積が変わるし、審査請求の裁決で指定確認検査機関の建築確認申請処分が取消しになつた事もあります。
そもそも「雨が落ちてくるものは屋根ではない」という概念規定についての論議が長く続いていて、それをどう考えるかで建築主事の見解は分かれます。
個人的には、施行令第2条第1項第2号に基づき、H5建設省告示第1437号で取り扱うべきであろうと思っています。ようするに戸建住宅に限って建蔽率を緩和する法的根拠が見当たりません。
以下 東京都内の取扱いを記載しますが、筆者が業務上ヒアリングした内容なので、違う指導を受けた場合がある場合は、御一報戴ければ幸いです。
【世田谷区】・・・「建築基準法等の取扱基準」
世田谷区は、同区の「建築基準法等の取扱基準」で、その取扱基準に記載している要件を満たすものは建築面積に参入しなくてもよいとしている。
原則はスノコ状であっても「屋根に類する構造」となるため建築面積の対象となるが、一戸建ての住宅等に設けるもので上記の要件を満たすスノコ状のバルコニーに限り、建築面積に算入しないものとする。
【江戸川区】・・・「建築基準法等における取扱い基準について」
江戸川区は、グレーチング状バルコニーについては、法第2条第1項第一号中の「屋根及び柱・・・(これに類する構造のものを含む)」により屋根として取扱っている。
ただし、専用住宅等におけるグレーチング状バルコニーについては、以上の条件①~⑤を満足したものに限り、柱があった場合でも先端から1mまで建築面積に算入しないものとしている。
なお、グレーチング状と通常のもの(開放性のないもの)が連続となっている場合は、一体のバルコニーとして建築面積に算入している。
【練馬区】
- 戸建住宅に限る
- 庇がない事
- 15m2未満であること
【北区】
- 取扱は H5建設省告示第1437号による・・・基本的に柱があれば床面積・建築面積に算入
- ただし個別に相談
【新宿区】
- スノコ状であっても通常の床があるバルコニーと同じ。柱があれば建築面積算入
【渋谷区】
- グレーチング等は問わず、柱つきバルコニーは建築面積算入を指導
【目黒区】
- 奥行き2m、幅4mまで不算入
- バルコニーの下部の用途は問わない・下部が駐車場であれば床面積に算入
- 二層グレーチングバルコニーは建築面積算入
- 上部庇は出が50cm程度なら不算入
- 延焼ラインは不燃仕上げ又は外壁仕上げと同等とする。
- グレーチングバルコニーは一層まで
- 支える壁は2面まで
【杉並区】
- 柱の有無、隣地との離れに関わらず不算入
- 概ね奥行き2m、幅4mまで不算入
- バルコニーを支える柱は良いが壁は不可
【品川区】
- グレーチングバルコニーは一層まで
- 下が駐車場等の特定の用途があるがあればグレーチングとしてはみない
- 隣地から50cm以上、奥行き2mまでは建築面積不算入
*その他の特定行政庁については随時ヒアリング後に追記します。