「梅おばあちゃんの贈りもの」乗松祥子著

この本も人に紹介された本。

80歳を超えても、朝から晩まで働いておられる梅おばあちゃん。

梅おばあちゃんの春夏秋冬の梅仕事を追いながら、毎日の食事、梅を使った料理のレシピ、梅の健康効果、幻と言われた杉田梅のことが書かれている。好奇心の持ち方、大切にしていることや白洲正子さん、樹木希林さん(内田家)との交流などについても綴られている。

写真も装丁も綺麗で、とても丁寧に作られた本だ。

「60代~70代は人生の黄金期」と書かれていて、ハッとした。趣味でも仕事でも夢中になれるものがあると幸せだという。80代の人生の先輩が言うのだから間違いがないだろう。

乗松祥子さんは、70歳から杉田梅の専門店「延楽梅花堂」を始めたとある。すごいな。「生きている限りは、ずっと現役でいたいと思っています。」。自分もそうありたいと思った。

梅干しが食べたくなった。

延楽梅花堂 トップページ (engakubaikado.jp)

「アーバン・ワイルド・エコロジー」能勢文徳+常山未央 著

 時々建築について刺激をすると長文のメールが返信されてくる「私の好きな建築ベスト10」を送ってくれた知人が、「若手のいい建築家」として教えてくれた能作文徳+常山未央。

 この知人には、「本来の建築とは何か」と常々刺激をもらっているので、彼のお薦めならと思い、全然名前の知らない若手建築家だったが、この本を買って見た。

 自分の娘、息子より若い40歳代前半の若手建築家は、何を考えているのか興味津々で読み始めた。

「建築を複数種の網目と捉えている。人間と複数種が共存する居住域を築くために、菌(きのこ)のような弱い力で現代都市を分解して再組織化する、それが私たちのヴィジョンである。」とある。

 多分 若い世代は、私の年代よりも気候変動や現代社会が持つ様々な問題に強い危機感を持つているのだろうと感じた。

 地球環境や生態系に配慮した家づくりやまちづくり、太陽エネルギーを生かしたオフグリッドハウス、土壌の健全性を回復する建築やランドスケープ、生産から廃棄までの物質循環に配慮したエコロジカルデザイン等のデザイン思考に取り組んでいる。

  近年は、街並みを構成する建築のさまざまな素材に着目し、築40年の瓦屋根の家屋を解体して修繕、移築した《高岡のゲストハウス》(2013)や、都市のストックである中古住宅にあなを開け、生命がつくるレイアウトにあわせて手を入れ続けていく自邸兼事務所《西大井のあな 都市のワイルド・エコロジー》(2017)などがある。

 土地やその歴史、素材や資源、住宅産業や社会制度、人々の生活のあり方など、より広範囲の設計与件を取り込みながら、新しい生態系としての建築の実現を志向している。

 能作文徳+常山未央。鋭敏な感性と知性でグローバルな活動をする彼らの今後の活動に期待したい。

「四神の旗」馳星周著

 この小説では、長屋王政権と藤原四子を扱っている。藤原不比等の4人の息子とは武智麻呂(南家)、房前(北家)、宇合(式家)、麻呂(京家)である。

 藤原不比等が死去した後に政権首班となった長屋王(ながやおう)。長屋王の権力基盤は、高市(たけち)皇子と御名部(みなべ)親王(元明の同母姉)との間に生まれた子であること。吉備(きび)内親王(草壁皇子と元明との子、元正天皇の同母妹)の夫であるということ。それから藤原不比等二女の長我子(ながこ)の夫であるという、三つの血筋によるもの。

 長屋王は藤原不比等の存命中は、その枠内において能力を発揮していたが、元明天皇が死去して首(おびと)皇子が即位し、聖武(しょうむ)天皇となるにつれ権力が揺らいでくる。

 神亀六年(天平元年、729年)2月10日、長屋王の「謀反」に関する密告が行われ12日窮問の結果、長屋王は自尽(ジジン・自分で自分の命を絶つこと)、その他は自経(縊死)。当時も今もこの長屋王の「謀反」は、誣告(ぶこく)であったと言う可能性が濃厚だ。それは藤原不比等二女の長我子所生の安宿王、黄文王、山背王、教勝などは不問とされていることから、この事件の標的がどこにあったか、この事件を策謀したものが誰であったかを示している。

 長屋王の変は、歴史教科書をさらつと眺めただけではわからない。この小説では長屋王の立場、藤原四子のそれぞれの立場と考え方にまで踏み込んだ創作となつており興味深い。

 それにしても藤原不比等の業績は偉大である。律令国家を完成させ、律令天皇制(および太上天皇制)を確立し、藤原氏の舗政を永続化させる基礎を固めている。

 日本の権力行使の有様、意思決定システムの様相、地位継承に関する構造など「この国のかたち」を作ったのは藤原不比等と持統天皇だったと言える。

「既存建築物の法適合調査ガイド」⁻円滑な改修のためのA to Z

 昨今の建設費高騰や部材の供給不足により既存建物を活用し、増改築や用途変更を検討する相談が、指定確認検査機関・ガイドライン調査機関に多く寄せられているそうです。

 勿論、弊社でも「既存建築物の再生と活用」に関する様々な相談が寄せられています。

 既存建築物は検査済証の取得をしていない建物も多数あり、増改築や用途変更の際に確認申請の提出が容易でないという相談や、既存建築物を建築基準法の性能規定を利用して改修したいというような等、多様な相談が寄せられています。

 一般財団法人 日本建築センターが2024年5月中旬に「既存建築物の法適合調査ガイドー円滑な改修のためのA to Z」を出版し、それに合わせて6月5日にハイブリッドセミナーを開催するようです。

新刊講習「既存建築物の法適合調査ガイド」-円滑な改修のためのA to Z | 講習会 | 日本建築センター (bcj.or.jp)

又、ビューローベリタスは、無料オンラインセミナーとして5月22日に「建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査)の解説と、成功・失敗事例のご紹介」というセミナーを開催するようです。
「セミナーでは、検査済証のない建築物の増改築や用途変更を円滑に進めるために活用いただける建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査)の解説と、成功・失敗事例のご紹介をします。」と書かれています。

開催日時:2024年5月22日(水)16:00~17:00|申込締切:5月17日(金)

https://service.bureauveritas.jp/Seminar-Training/course.php?type=1&cid=850&utm_source=willmail&utm_medium=email&utm_campaign=mail_6295

 相次ぐ指定確認検査機関・ガイドライン調査機関のアクション。既存建築物の技術審査部門のビジネスチャンスと見ているようです。

表面利回り & 実質利回り

 先日、アセットマネジメント会社と既存建築物のリノベーション計画を打合せしていて、どのような改修を選択するのが良いかと判断するのは、商業的不動産投資においては、第一は経済的合理性であること。事業収支計画での表面利回り、実質利回りが最も大事と話したら、「設計事務所の人の口から表面利回り、実質利回りと聞いたのは始めて」と言われた。

 最近のデザイナー、建築設計事務所の人は、事業収支計画とかは関与しないのだろうか。

 とあるプロジェクトの設計チームで「表面利回り、実質利回り」について聞いてみたら、やはり詳しくは知らないようだった。

※『アセットマネジメント (AM) もしくは資産運用(しさんうんよう)とは、広義としては、投資資産の運用を実際の所有者・投資家に代行して行う業務のことである。従って、株式・債券・投資用不動産、その他金融資産の運用を代行する業務一般を意味する。』

【表面利回り(グロス利回り)】

表面利回りは「物件価格に対して、家賃収入をどれだけ効率よく得られるか」を指す。改修工事においても初期投資額に対して年間家賃収入がどのくらいあるか計算する。つまり「年間の支出」が入っていない。

計算式「表面利回り=年間の家賃収入÷不動産投資額(物件価格)×100」

【実質利回り(ネット利回り)】

実質利回りは、「物件価格を含めた購入時の出費に対して、手元に残る現金をどれだけ効率よく得られるか」を指し、修繕費等のランニングコストといった年間支出を考慮して算出した正確な利回りを示し、 物件価格に対して実際に手元に残る年間の家賃収入の割合 を示す。 具体的には、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、各種保険料、修繕費、管理費などの費用を差し引いた収入を考慮します。

計算式「実質利回り=(年間の家賃収入-運営経費)÷(不動産投資額(初年度諸経費込))×100

 経営者である建築主の心を動かすのは「表面利回り、実質利回り」の数値。

 弊社では、リノベーションの事業収支計画計算ブログロムを導入し、様々なシュミレーションができるようにしている。

来年2025年(令和7年)4月1日法改正の内容が国土交通省から発表された。

令和4年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)」の施行期日を定める政令及び施行に必要な規定の整備等を行う政令が、4月16閣議決定された。

https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001001.html

 2025年(令和7年)4月1日から省エネ基準適合の全面義務化や構造関係規定の見直しなどが施行される。

神楽坂マップ

 神楽坂のお店でいただいた「神楽坂2024年まち歩きマップ」神楽坂通り商店街編集発行を眺めていた。伝統と新しさが溶け合う街・神楽坂。路地裏には江戸情緒が残る。飲食店を含め店舗の栄枯盛衰が激しい街でもある。

そして私達 爺婆が好きな街。

3月、孫娘達を夜の神楽坂にデビューさせた。

 あなたのお母さんが学生時代アルバイトしていた街。ここは、あなたのお父さんが学生時代、指導教授達と夜な夜な雀卓を囲んでいた街。

 婆ちゃんの祖父母は、関東大震災当時、隣町の牛込柳町に住んでいて、たまたま米を配達してもらったばかりて、その米で被災者に炊き出しをしたんだって。
 東日本大震災の時、爺ちゃんと婆ちゃんは徒歩で帰宅途中 この街でようやく落ち合う事ができた。あの時は 時々しか携帯電話が繋がらなくて連絡を取るのが大変だった。

そんな家族の神楽坂にまつわる話を孫娘達に伝えた。

艶めかしい雰囲気が醸し出されている夜の神楽坂の路地。

大人の世界の雰囲気を少し味わせることができただろうか。

「白鍵と黒鍵の間に ジャズピアニスト・エレジー銀座編」南博著

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 2023年秋に、池松壮亮主演で映画化された同名映画の原作本で、ジャズ・ピアニスト・南博が綴る修業時代の青春回想記。

 真面目なクラシックピアノ志望の青年は、ある日ふと聴いたジャズに魅せられ、人生が一変していく。

 学校をスピンアウトして小岩のキャバレー、六本木のバー、そして銀座の超高級クラブでの掛け持ちピアニスト生活。

 1980年代バブルの時代。欲望と札束が飛び交う夜の銀座で、青年は人生を学んでゆく。のだが肝心の部分は「モニャモニャ」と書かれている。そして銀座に別れを告げて、あこがれのアメリカへのジャズ留学を決意するまでが回想されている。

 私は、東京では東京駅から浜松町の間の会社に勤めていたので、銀座の街の雰囲気にはなじみがあるが、今の銀座には、あの頃の大人の世界は無くなったようにも感じる。

 仕事に追われていると こんな郷愁を誘う本が読みたくなる。

 尚、私は、南博のジャズピアノはあまり好きではない。

ラカトン&ヴァッサル

 知人と「好きな建築ベスト10」で被った2つ目は、2021年のプリツカー賞を受賞したフランスの建築家ラカトン&ヴァッサル。ラカトン&ヴァッサルは、アン・ラカトンとジャン・フィリップ・バッサルによる設計事務所で1987年にパリで設立された。

 2003年の建築文化で特集を組まれている。わずかに所蔵している「建築文化」の中の一冊。こうしてみるとラカトン&ヴァッサルは随分以前から注目はされていたけど、日本ではあまり人気がなく、作品集も邦訳されたものはないのではないかと思う。

 初期の作品は、一見してチープだからか人気がないのかも知れないけど、私は結構参考にしてきた。

下記は、2021年にプリッカー賞を受賞した時のarchitecturephotoの記事

『1960年代初頭に建設された17階建て96戸の市営住宅「La Tour Bois le Prêtre(2011年、フランス・パリ)」を、ラカトン&ヴァッサルがフレデリック・ドルオと共同で、より大きなスケールで改修しました。建築家は、元々あったコンクリートのファサードを取り除くことで、各ユニットの室内面積を増やし、建物の占有面積を拡張して、生物気候学のバルコニーを形成しました。かつては制限されていたリビングルームは、フレキシブルな空間として新しいテラスに広がり、大きな窓からは街の景色が一望できます。このようにして、ソーシャルハウジングの美的感覚だけでなく、都市の地理的状況の中でのそのようなコミュニティの意図と可能性を再考しました。

このフレームワークは、Druot and Christophe Hutinと共に、Grand Parc(フランス・ボルドー、2017年)にある530戸のアパートメントからなる3つの建物(G、H、I)の変革にも同様に適用されました。この変革により、ソーシャルハウジングを劇的に視覚的に再構築し、エレベーターや配管を近代化し、すべての住戸を寛大に拡張し、一部の住戸は約2倍の広さになりました。それは、住人を追い出すことなく、解体して新たに建設する場合の3分の1のコストで実現しました。

「私たちの仕事は、制約や問題を解決し、用途や感情、感覚を生み出すことができる空間を見つけることです。これまでのすべてが複雑であったときには、このプロセスと努力の最後には、軽さとシンプルさがなければなりません。」とヴァッサルは説明します。』

 ラカトン&ヴァッサルは、これらの操作を「トランスフォーメーション(変換)」と称していたような記憶がある。私は、リノベーションとかリファイン建築(青木茂)とかより「トランスフォーメーション」の方が概念的にしっくりくるように思っている。

草加松原

始めて埼玉県草加市に行った。

草加松原遊歩道は、埼玉県草加市の綾瀬川に沿った旧日光街道の松並木

「日本の道100選」「利根川百景」「おくのほそ道の風景地」
松尾芭蕉が旅した時代の松並木が残っているそうです

最寄りの駅は、東武スカイツリーライン・獨協大学前(草加松原)

「熱帯建築家 ジェフリー・バウの冒険」

 知人と建築についてメールでやりとりしていて、何故か「好きな建築ベスト10」というのが送られてきた。年代差があるので好みの建築も自ずと違うが、私の好きな建築と被ったのは3件だった。私は「好きな建築ベスト10」というように整理したことがなく、すぐ思いつくのは5件ぐらいだが、後は絞り切れない。

 私と好みが被ったひとつがジェフリー・バワだった。

 そこで、もう10年近く前の本だが、「熱帯建築家 ジェフリー・バウの冒険」を取り出してきた。昔の本を探し出すのが一手間。全ての本を開架式で見れるようにしたい。

 この本の隈研吾の解説では「建築の時代から、庭の時代へと転換している」と冒頭に書くが、今振り返ると「建築という制度、建築という時代」から抜け出せていないのは彼自身なのではないかと思った。

 ジェフリー・バウといえば、アジアンリゾートに強い影響を与えた。基本的にスリランカの建築家であり、アジア全般で活躍したわけではないが、バリ島の高級別荘地、パトラジンパを通じてバリ島に紹介されアジアンリゾートに影響を与えたと言われている。

 バウは、理論には懐疑的だったと言う。

 「俺の作品を見に来て感じろよ。」

 そんなメッセージがスリランカから聞こえてくる。

日本酒スリートップ

先週末、知人の誕生日会

誕生日会をした店にあった、妻が好きな酒スリートップ

十四代龍の落とし子、而今、田酒

それぞれ飲み比べ、私は舐め比べ

十四代龍の落とし子、旨し

女性陣は、蟒蛇(うわばみ)みたいな人達で、この後に新政、焼酎等を飲んでいた

顔が赤くならないのが不思議

輪島塗の100年物の御重が美しい

御重の中。勿論出された料理のほんの一部です

今度は 日本酒専門の店に行こうと、よからぬ計画をしている姫達でした。

「比ぶ者なき」馳星周著

 このところ仕事の合間に読んでいたのは「藤原氏」に関する本。「大化改新」から律令国家、摂関時代、そして中世以降と。日本史の「真の主役」は「藤原氏」という人もいる。そのくらい日本の権力中枢に位置していた一族だ。

 この「比ぶ者なき」は、皇極4年(645年)の乙巳の変(いつしのへん)で功業をなしたと言われている中臣鎌子(後の藤原鎌足)の次子である史(ふみひと)・(後の藤原不比等)が主人公である。

 馳星周は、この「比ぶ者なき」で藤原不比等を主人公に据え、「四神の旗」で藤原不比等の4人の息子である武智麻呂、房前、宇合、麻呂を、「北辰の門」で藤原仲麻呂(恵美押勝)を取り上げている。

 さて藤原不比等。日本史上、最強のフィクサーとも言われている。何しろ天皇を神にし、律令国家を完成させた男と称される。

 不比等は、百済系渡来人のフミヒトである田辺氏の許で幼少期を過ごしたといわれており、官人となってからも渡来人を配下に置くことによって最新統治技術を独占した。又斉明朝から天智朝初年にかけての大臣(オホマヘツキミ)蘇我連子(むらじこ)の女である娼子(しょうこ)と結婚した。

 八世紀の天皇家は藤原氏と幾重もの婚姻関係を築いたが、それは藤原氏の基本的攻略として受け継がれることとなった。

 馳星周さん、小説とは言え、時代的背景・感情を良くとらえていると思う。馳星周がこんな古代歴史小説を書くとは思っていなかった。

 まあ皇国史観に凝り固まった連中からしたら焚書ものの小説だが、歴史を学んだものからすれば至極まっとうな小説である。

既存宅地確認

 先日、埼玉県北部に15年前に自宅を建てられた人の住まいの図面や写真を見せてもらった。聞けば市街化調整区域で「既存宅地確認」を行い建築基準法上は「改築」で建てたと聞いた。賢い。

 設計者でも都会で活動する若い人は「既存宅地確認」の制度を知らない人も多いだろう。この「既存宅地確認」は既に廃止された制度だからだ。

以下「既存宅地確認」制度について書いておこう

■既存宅地確認とは
 原則として建築物の建築(新築、改築、用途の変更)が禁止されている市街化調整区域の土地であっても、市街化調整区域に指定された(線引き)時点で、一定の要件を満たす既に宅地であった土地について、申請により確認を受けることを言い、この確認がされた土地を「既存宅地確認を受けた土地」と言います。

 建屋はボロボロの廃屋同然でも、都市計画法制定線引き以前から建っていて、土地の登記は「宅地」となっているものが、「既存宅地確認」を受けれることができた。
 即ち、この確認により許可を受けることなく原則禁止されている建築物の建築ができる制度。現時点で登記地目が宅地である、あるいは宅地利用している、というだけでは、既存宅地確認を受けた土地には該当しない。その地域で都市計画法が施行された時期、概ね昭和45年以前に宅地である必要がある。

■既存宅地確認制度の廃止 

 都市計画法の施行により市街化調整区域での建築制限が30年以上行われてきた一方、既存宅地確認により建築される建築物は、許可を受けて建築される建築物と比べ周辺環境と著しく調和しないものでも建築可能であったため、法施行以前から宅地に対する優遇的な取扱いをする期間が満了したものとして、平成12年の法律改正により、平成13年5月18日をもって廃止された。
 この廃止により、既存宅地確認を受けた土地に関しては、既存宅地確認の日から5年間までは、自己の居住用又は自己の業務用の建築に限り、経過措置として建築が認められた。

(注2)自己の業務用:継続して自己の業務に係る目的の建築物で、ホテル、旅館、結婚式場、自営の工場、自営の店舗等がある(貸し工場、貸し店舗等建築主自らが使用しない建築物は含まれない)

制度廃止に伴う線引き前からの宅地の取扱い
 廃止された既存宅地確認制度の確認要件(注)を備えた土地で、情勢の変化により土地利用を変更する必要が生じた土地については、都道府県開発審査会基準により、個別に許可を受けることにより、建築をすることができる。

(注)概ね50戸以上の建築物が連たんしている土地であること、かつ、線引き時点ですでに宅地であったことが確認できる土地。

 今でも該当すると思われる人は、案内図(住宅地図)、土地と建物の登記簿謄本等を用意して行政に相談してください。

植栽のモックアップ

とある新築中建物の植栽モックアップを造園設計者の案内で見学した

蛇篭プランター・外部側

建物の各階軒先端に設置する計画

蛇篭プランター・内部側

潅水装置も設置されていた

土壌は人工軽量土の上にマルチングが施されていた

現在、植栽の成長度合いを観察しているところだそうだ

「深夜食堂の料理帖」飯島奈美著

 映画「かもめ食堂」「南極料理人」「深夜食堂シリーズ」のフードスタイリスト・飯島奈美さんのレシピ本。

 誰しもお腹が満たされれば、心も癒される。

 この本で紹介されている家庭料理は、ごくごく普通の料理だが、母が作ってくれた料理が思いうかぶ。

 決して高級ではない材料に手間をかけたお袋の味。思い起こすと懐かしい。

 お袋の味も中食・外食の時代で、時短料理とか、なんちゃつて料理を散見するけれど、家庭料理は大事。それを子供達、孫に伝えるのは、やっぱり女性の仕事。日本文化の伝道師は、日本女性だと思う。

 お袋の味を伝えようと、妻は今 「我家の家庭料理レシピ」を作り始めている。写真撮影者は私。 

柱列・半外部空間

台湾・騎楼

フィレンツェ・オスぺダーレインノチェンティ(捨子保育園)

ボローニャ・歴史的街区 ポルティコ

「都市の本質とは、お互いに知らない人々が集まって、過度に干渉せずに関係を築けるということだ。その関係が、街路という公共的な場所を核として発達する。そしてその街路の公共性を保つのは、そこに張りつく多様な商業経済活動と、それが生み出す『ついで』の活動だ。買物や雑用でやってきた人々が、ついでにその街路に人目を提供し、それが街路の治安を保つ。それが逆に地域の商業的繁栄にもつながる。用途規制や巨大開発などを通じた土地利用の純粋化は、そうしたついでの活動を殺し、街路を殺し、結果として都市を殺してしまう。目に見える単調さやつまらなさは、その結果でしかない。」(「アメリカ大都市の死と生」ジェイン・ジェイコブス著)

「世界はラテン語でできている」ラテン語さん著

 先に挙げた陣内秀信先生の著書を基軸本にすると、当然イタリアに関係する本を読んで理解を深めようとする。

 そうした関連で、この「世界はラテン語でできている」を読んだ。

 「ラテン語」は、イタリア半島中西部の古代ローマで産声をあげ、古代ローマの勢力拡大に伴って通用する地域を広げた。その後もヨーロッパの書き言葉として使われ、現代のフランス語、スペイン語、ポルタル語、イタリア語、ルーマニア語等の元になった。また英語の語彙にも影響を与えている。と書かれている。

 実際、現代でもラテン語は身近な存在であり、世界史、政治、科学、現代、日本という領域でラテン語が、どう関わっているか解説されている。

 イタリアでは、現在でも高校ではラテン語が必須教科と聞いた。イタリア人はラテン語知識に自負があり、ラテン語に対するこだわりは強いようだ。

 多分、ラテン語は世界を席捲した偉大な言語、ヨーロッパを築きあげたという文化的な誇りという意識がイタリア人には根強いのだと思う。

 古代ローマと日本に共通するメンタリティは、多神教がベースの社会組織だということ。

「ラテン語を通じて世界の解像度が上がる」と書かれていたが、この本を読むとそれがよく理解できる。

「日本の近現代建築家たち」文化庁国立現代建築資料館

 2023年7月から2024年2月まで開催されていた文化庁国立近現代建築資料館【NAMA】10周年記念アーカイブズ特別展の図録。PDFでも提供されているが、手元に置いておきたいと思い購入。

 アーカイブズ特別展が開催されていたのは知っていたが見に行けなかった。

 この人達から学び、背中を見ながら私は建築人生の半世紀を歩んできた。

 安藤忠雄さんの講演会に行ったのは学生時代。それまで安藤忠雄の名前さえ知らかったが「住吉の長屋」のスライドを見た時は衝撃的だった。これ以上単純化できないコンクリートの箱という建築表現。その図面はとても美しかった。

 個人的には第一工房の高橋靗一さんの作品が好きで村野藤吾賞を受賞した「群馬県立舘林美術館」を見に行った時は感動した。これほど自然との調和がある美術館は見たことがなかった。

 この図録で取り上げられている先人たる建築家の日本建築界に与えた影響は計り知れない。

「建築史への挑戦 住居から都市、そしてテリトーリオへ」陣内秀信・高村雅彦編著

陣内秀信先生の法政大学教授最終講義集。

 2019年出版当時に一度読んでから、いつも机の上にあり何度も読み返している。自分にとって基軸となる本。だから書いておくことは多いし、中々読後感を記することができなかった。

 この本を「幹」にして参考となる「枝」となる本を読んでいると、何年経っても読み終わらない、読み返す「基軸」本となる。それほど陣内秀信先生の本に青春時代から影響を受けていると、今更ながら実感する。

 陣内秀信先生に直接お会いしたこともないし、陣内研究室で学びたいと思ったことはなかったが、その本から受けた影響は計り知れないのではないか。と半世紀を振り返えってみると思い起こす事は多い。

 同時代を生きてきた、ちょっとお兄さんの陣内秀信先生は、建物単体よりも都市空間の間の物語を紡いできた。研究領域の視点も住居から都市に移り、最近ではテリトーリオに広がっている。他の研究領域の人を巻き込んで とても学際的な研究を続けておられる。

 陣内秀信先生の口癖は「一点突破 全面展開」だと聞いて笑ってしまった。懐かしい1970年代初頭の言葉に触れ、ああ間違いなく同時代人だなと思った。

 あの時代の同時代人で「一点突破 全面展開」できた人は どれだけいるだろうか。そういう私も出来なかった。

 「一点突破 全面展開」できた稀有の存在である陣内秀信先生の本は、建築界のみならず現代社会人の必読書である。

キックオフ

新規プロジェクトの設計キックオフがあり、会食に参加して来た

台湾料理とシャンパンのマリアージュが評判の店だが

会話と料理に夢中になり写真をほとんど撮らなかった

終わりの頃味見した、紹興酒

何十年かぶりに紹興酒を飲んだが、一般的な中華料理にはあうかもしれないが、

ここの料理には、やっぱりシャンパンがあう

台湾では、料理の最後にスープが出されるらしい

写真は、鰆のフライ入りフカヒレと白菜の煮込み

桃膠と紅棗・白キクラゲの豆花

腹いっぱい食べて気の合う人達と語り合うひと時は楽し、嬉し

お店は、日本橋コレド室町テラス2階・富錦樹台菜香檳(fujintree.jp)

お土産に買い求めた「梅木のだしいなり」

次の日の朝、冷たいのがまた美味い

報・連・相

桜もようやく咲いてきた

4月、街中に電車に新入社員と思われるリクルート服をまとった若い人達が目立つ。

社会人として評価の初歩的な基準は「報・連・相」。

【報告】
部下が上司の指示に取り組みつつ、途中経過を報告すること。
【連絡】
自分の意見や憶測を含めない関係者への状況報告
【相談】
自分だけで業務上の判断が困難なとき、上司に意見をきくこと

 どんな有名大学を卒業したかではない。地頭が良くても、弁が立つ者でも、「報・連・相」が、きっちりできない人は自然と落伍していく。

【てら・アソシエイツ通信2024・第10号】を発行しました。

【てら・アソシエイツ通信2024・第10号】
(VOL10~2023年の業務と現在進行形のプロジェクトの紹介)
を、4月2日発行しました。

例年は正月に発行しておりましたが、

昨年度から新年度発行に変更しています

内容はA4縦カラー9頁です

主としてメール及び名刺を交換させていただいた方に

メールにて送信しています。

弊社は一斉メールではなく個々にメール送信を行っており

現在あいうえお順で発送しています。

届いていない方は今しばらくお待ちください。

健康の秘訣

【3月27日前日の雨が上がり晴れ上がった・さいたま新都心】

 先日、78歳と73歳という現役設計者と話をして、健康の秘訣は何と言っても歩く事だと聞いた。

 音楽を聴きながら寝ながら本を読むのが趣味みたいな爺なので、身体の血流が悪い事この上ない。医者からは「あなたの場合、痩せれば身体の数値は良くなります」と言われてはいるが、元来身体を動かすことは嫌い。

 それでも健康の為と妻にお尻を叩かれウォーキング40分。 

 疲れた。

 脚力が落ちている事を実感

【さいたま新都心・合同庁舎群】

第4回楽歌踊謡

日曜日「第4回楽歌踊謡」(らっかようよう)を観に日本橋公会堂に行ってきた。

東京駅で乗り換えたが、通路は利用客で溢れていた。

そういえば春休み

年に一度、日本の伝統文化に触れる機会だが、

お稽古事のおさらい会なので内容は玉石混交

日本舞踊を習っている お孫ちゃんも出演

髪飾りだけ公開

昨年に比べて随分と踊りが上手になった

朝、家を出て昼過ぎには帰宅したが、ものすごく疲れ、帰宅後爆睡。

人の多さに疲れるのだろうか