
私が「ゴッホの椅子」に出会ったのは、2017年に京都の河井寛次郎記念館を訪れたときだから、まだ最近だ。
玄関の土間に置かれた3脚のの椅子が、「ゴッホの椅子」だと知ったのは出会ってから、しばらく経ってからだ。
出会ったときは「随分素朴な椅子だな」という印象しか持たなかった。
近年、美濃に縁ができて、色々なところにいくが、中津川市付知に旅館「上見屋」があり、その隣地に上見屋の経営である「とこわか」という飲食店で昼食をいただいたことがある。
その「とこわか」は、和風で栗材で作られており、付知の杣工房・早川泰輔さんの仕事と聞いた。
その早川泰輔さんのお父さんが早川謙之輔さんで、私たちが栗の菓子を買いに行く「すや西木店」や「静岡市立芹沢銈介美術館・白井晟一設計」の展示スペースの天井を手掛けられていることを知り、早川謙之輔さんが書いた「黒田辰秋・木工の先達に学ぶ」他三冊の本を読み、そしてこの本にたどり着いた。
出会いから、ぐるりと回って、もとに戻ったような不思議な感じ。この椅子に縁があったのかもしれない。
岐阜県立森林文化アカデミー教授の久津輪雅さんの、この本「ゴッホの椅子」には、「人間国宝・黒田辰秋が愛した椅子。その魅力や歴史、作り方に迫る」とあり、作り方まで書いてある。
「ゴッホの椅子」は、素朴だけど優しく、年月を重ねると風合いがでる。うわべだけのデザインがはびこる現代に、自然や社会の環境とかけ離れたものをつくるなと戒めているかのような存在だ。