
元国税調査官の大村大次郎氏が書いた この本、表題の日本史を読み解くという視点が面白そうだったので、アマゾンをポチったが、本当に面白い内容だった。
日本史をそれぞれの専門分野の人達が深く掘り下げる本を書いてくれると、歴史の理解に奥行きが生まれる。事柄と年号を覚える歴史教育とはおさらばしてほしい。
思えば私が歴史に惹かれていったのは、中学生の時に出会った松本清張の「西郷札」や「或る『小倉日記』伝」がきっかけだった。
この本を読むと土地制度が変わったときに国の形も変わった。ということが良く理解できる。
新しい知見として江戸時代にあった「割地」というものを知った。
割地といのは村落内の農民が、耕作する農地を定期的に交換するという制度。農地というのは、その位置関係によって収穫量に大きな差が出る。日光の差し具合や水利によつても異なるし、それぞれの土地にふくまれる養分によつても違ってくる。同じぐらいの農地の広さでも収穫量の多寡はかなり違うことが多いそうだ。その為公平を期するために、村落内の農民が、一定の年限で耕作地を順番に入れ替えるというのが「割地」という制度。意外と合理的な方法が採用されていたことに驚いた。
割地という呼称は、そのほか地割、割替え、軒前割、一鍬前、一挺前、田地割、軒前割、門割などさまざまあるが、割地制度は全国的にみられるそうだ。
これを知って、江戸時代の農民には「所有権」「耕作権」の概念が薄く、村落の土地は農民全体の共有財産というような意識があったことがわかる。多分それは、江戸時代の年貢は「村落でいくら」というような「村請制」を採っていたいたからではないかと思う。
この「割地」は、明治の「地租改正」1873年(明治6年)の時に、多くの割地があることがわかり、行政と研究者が調査に入ったそうだ。割地は、明治以降も残り、現在でも一部では残存していると新潟大学の研究論文「割地制度とコモンズ」に書かれている。
巻末に著者は、この国を将来を憂いてこう書いている
「『貧困は自己責任』として片づけてしまう風潮がはびこり、うまく立ち回って富を手にしたものが偉いという価値観が広まっている。著者は、これに危機感を禁じえない。日本には太古から『助け合うのは当たり前」という文化があった。それは日本という国を形づくってきた精神であり、日本が世界に誇れる国になった最大の要因でもある。」
同感。