「わすれられない おくりもの」スーザン・バーレイ さく え 小川仁央訳

スーザン・バーレイのデビュー作で、日本では1986年に初版が発行されたとある。

 アナグマは、イギリスでは最もなじみの深い動物のひとつらしいが「身近な人を失った悲しみを、どう乗り越えていくのか」ということをテーマにした絵本で、こどもたちに「死」について考える契機を与えるらしい。

 私は、この絵本で「継承」ということを考えるようになった。今年2024年から「継承」を意識した取り組みを試行錯誤しながら始めたところだったせいもある。

 近年、クライアントや知り合いから「後進の育成を」と、言われるようになっていた。しかし後進者など容易に作ろうとしてできるものでもあるまいが、何らかの「智慧」の伝達は、仕事を通じた口伝で可能ではないかと考えた。知識があれば仕事がくるわけでも、こなせるわけでもない。やっぱり智慧は、経験が左右するように思う。

 空海の言葉に「仏の教えは一言で言えば、自分の利益と他人の利益を一致させることである」というのがある。「人を思いやる気持ちと、人に利益をもたらす行動をすることが全ての根本である」という言葉も残っている。そして「仏として生きる道は遠いところにあるのではない。すぐそこにある。」と

 生臭すぎる自分は、仏にはなれないが・・・