遵法性調査の対象関係法令

「遵法性調査」と言っても、建築基準法と関係法令は膨大で、法令のどこまでを調査対象とするのか、事前によく取り決めておかなければならない。

  1. 建築基準法
  2. 建築基準法に基づく条例
    建築基準法に基づく条例は地方公共団体が制限内容を定めていて適合義務がある。敷地、道路等の制限、地域地区等の制限、日影規制等多くの項目が含まれている。
  3. 消防法
    火災予防や消防設備に関する事項が定められており、建築基準法と並んで安全上重要な法令。
  4. 建築基準関係規定
    消防法を含め、屋外広告物法・駐車場法・バリアフリー法等確認審査の対象となる法令(全18法律)。
  5. 確認手続き以外の手続きを要する法令
    都市計画法、土地区画整理法、省エネ法、電波法、文化財保護法、ビル管法等に基づく許可・届出等及び地方公共団体が定める条例(中高層建築・福祉・景観等に関する)に基づく届出等。
  6. 要綱・基準・指導等
    地方公共団体が定める条例に基づかない強制力のない指導という位置づけであっても遵守することが望ましいもの。
  7. 業務・営業に関する手続き
    医療法・学校教育法・児童福祉法・大店舗立地法・工場立地法・風営法等に基づく許可・届出等。
  8. 宅地建物取引業法上の重要事項説明義務対象法令
    都市計画法・建築基準法を始め重要事項として説明すべき法令に基づく制限にかかる対象法令(全47法律)。

※5~7は通常オプション調査項目。 ※1の内、法第20条に基づく「構造計算の検証調査」は、オプション調査項目となる。

<建築物の遵法性調査>

1. 調査範囲等について

本調査は依頼者から提示された資料と現地調査で確認できた範囲で、建築当時の経緯を踏まえ現行の建築基準法に適合しているかどうかを判定するので、原則として立入りができない室等、構造関係規定に関係する事項、設備機器等の動作、及び耐火構造に関する耐火被覆や防火設備・不燃材料の特定等目視では不明な事項については除外される。

構造に関する補完的調査として『構造計算書検証調査』※1や、非破壊調査である『鉄筋探査機による配筋調査』『シュミットハンマーによるコンクリート強度調査』も可能です。

※1) 構造計算書検証調査は「構造図」「構造計算書」が必要であり、構造計算の内容が適正かどうかを調査するものであり、建物が構造図通りに施工されているかどうかを調査するものではありません。
2. 調査に必要な書類

提示資料の内容で報告書の精度が変わるで、情報は出来るだけ提示してもらう。

(1)確認関係書類(確認済証・検査済証・台帳証明等)
(2)設計図書(確認図・竣工図等)
(3)各種定期報告等書類
(4)その他調査に参考となる資料(登記簿・公図・敷地実測図等)

以上は、中規模以上の建物でビル管理会社等が介在している場合の例で、オーナー直接で調査を請け負う場合は、提示資料の開示が未整理だったりして、その履歴を整理するだけで大変な作業になることがある。

また、テナント等に入居している店舗等の調査の場合には、調査範囲を詳細に詰めておく必要がある。